表記の研究において、平成12年度の成果として外側翼突筋、内側翼突筋、咬筋深部前方部・咬筋深部後方部、咬筋浅部、顎二腹筋の固形飼料咀噛時の咀価側および非咀嚼側の筋活動量の比較を報告した。平成13年度は平成12年度の成果をふまえ、各筋群間の相関について検討し、以下の結果を得た。 1.外側翼突筋および顎二腹筋の開口筋群では、咀嚼側、非咀嚼側に関係なくすべての筋が高い相関を示した。 2.咀嚼側の閉口筋群においては、咬筋中央部と内側翼突筋とが高い相関を示した。しかし、深部咬筋の前方部および後方部は同側の内側翼突筋と咬筋中央部と相関したが、同側の深部咬筋前方部と深部咬筋後方部とはほとんど相関しなかった。このことから、深部咬筋の前方部と後方部とは閉口時に同時に機能することは共通しているが、それぞれ独自の機能を持っていると考えられる。 3.咀嚼側と非咀嚼側との閉口筋群については、咀嚼側の内側翼突筋および咬筋中央部は、非咀嚼側の同名筋と高い相関を示した。咀嚼側の深部咬筋の前方部および後方部も非咀嚼側の内側翼突筋および咬筋中央部と相関したが、相関の程度は後方部の力が強かった。すなわち、咀嚼側と非咀嚼側との閉口筋群の相関の特徴は、1)両側の深部咬筋前方部の相関はきわめて低い。2)非咀嚼側の深部咬筋後方部は咀嚼側の深部咬筋後方部とは相関するが、咀嚼側の他の閉口筋群とは全く相関しない。 4.咀嚼側の深部咬筋前方部は開口相の初期にも短期間ではあるがしかし、開口相での深部咬筋前方部の活動量は、同時期に活動している外側翌突筋や顎二腹筋とは相関しなかった(0.1程度)。 5.開口筋群と閉口筋群との筋活動量は、まったく相関しなかった。
|