研究課題/領域番号 |
12671848
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
中島 正俊 東京医科歯科大学, 歯学部付属病院, 講師 (50272604)
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研究分担者 |
緒方 美和子 東京医科歯科大学, 歯学部付属病院, 助手 (60302882)
島田 康史 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60282761)
二階堂 徹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00251538)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | う蝕象牙質 / 接着強さ / 硬さ / 接着性コンポジットレジン / EPMA / 再石灰化 / グラスアイオノマーセメント |
研究概要 |
う蝕罹患象牙質に対するレジンの接着性能を評価する場合、う蝕罹患象牙質部の面積は非常に小さく、またその形態は様々であるため、比較的大きな被着面積を必要とする従来型の接着試験法では、評価することが困難であった。また、これらの接試験法では、ことも難しく、その報告はほとんど見当たらない。しかしながら、近年佐野らにより考案されたmicro tensile testにより、これらの条件下におけるレジンの象牙質接着性能の評価を行うことが可能となり、本研究でもこの試験法を用いて、う蝕罹患象牙質に対するレジンの接着性能、およびin vivo、in vitroにおける長期接着耐久性に対する評価を行った。その結果、う蝕象牙質に対する接着性能は、健全象牙質と比較して低いことが判明した。また、健全象牙質へのレジンの接着強さも経時的に低下する傾向が認められた。 in vitroにおける歯質の脱灰-再石灰化に関する研究では、再石灰化反応が優勢となり、歯質の損失量(脱灰量)を補うことができれば、健全歯質に修復・治癒すると報告されている。したがって、部分的に脱灰しているう蝕罹患象牙質においても適切に処置を行えば、in vivoにおいて生理的再石灰化する可能性があることが示唆されているが、それに関する研究報告は少ない。本研究ではin vivoにおける象牙質の生理的再石灰化に関し、微小領域の元素分析が可能な高性能電子線マイクロアナライザー(EPMA)による修復物下の人工脱灰窩底部象牙質の元素分析および超微小硬さを測定することにより検討を加えた。3日後の試片では人工脱灰象牙質中にグラスアイオノマーセメントから徐放されたと思われるFが検出されたが、Ca, P, Mgはほとんど検出されなかった。360日後の試片においては、人工脱灰象牙質中のCa濃度は、3日後と比べ増加しているものの、散在している程度にすぎなかった。しかしながら、Mgは人工脱灰象牙質直下の健全象牙質と同程度の濃度をしめした。この結果から、脱灰象牙質の細菌感染は、生理的再石灰化反応を阻害し、生理的再石灰化にあたりCaよりMgの濃度上昇が先行することが示唆された。また、in vitroにおけるレジン-う蝕罹患象牙質の接合界面についても高性能電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて観察を行った結果、接合界面には、コラーゲン線維の露出を意味すると思われるNのピークが健全象牙質及びう蝕罹患象牙質とも観察され、その厚さもう蝕罹患象牙質の方が厚かった。さらにMgについては、う蝕罹患象牙質の管間象牙質ではすでにう蝕の影響を受け、ほとんど検出されなかった。
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