研究課題/領域番号 |
12671853
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松尾 敬志 徳島大学, 歯学部, 教授 (30173800)
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研究分担者 |
川崎 有希子 徳島大学, 歯学部, 助手 (60294708)
湯本 浩通 徳島大学, 歯学部, 助手 (60284303)
中江 英明 徳島大学, 歯学部, 助教授 (30227730)
吉田 佳子 徳島大学, 歯学部, 教務職員 (20243727)
藤中 恵子 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (00294710)
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キーワード | 根尖性歯周炎 / 感染根管 / 細菌 / 免疫染色 / 根尖孔 / バイオフィルム / 走査型電子顕微鏡 |
研究概要 |
根尖性歯周炎は歯髄壊死に陥った根管系に口腔内細菌が感染し、根管内よりこれらの細菌を主体とする病原性物質が根尖歯周組織に漏出することのより惹起される。従って、感染根管ではどのような細菌が根管系のどこに棲息しているか、またどのような場合に根尖性歯周炎を惹起するのかなど、その感染実態を明らかにすることは、病態の把握さらには予後の判定において重要であると考えられる。そこで今回、感染根管の細菌、特に根尖性歯周炎の成立に重要な役割を果たしていると考えられる根尖部の細菌を、免疫組織学的手法を用いて同定するとともに、それらの局在について検討を加えた。 歯髄死と診断された歯で、臨床上抜歯の適応症と判定された23歯を被験歯とした。採集した試料は直ちにhalf-karnovsky溶液にて固定し、キシレンに置換した後、疎水性MMA樹脂に包埋して厚さ2.5ミクロンの薄切連続切片とした。切片の一部は根管内の全ての細菌を確認するためにBrown-Brenn染色を施し、他は酵素抗体法による免疫染色を施して、光学顕微鏡による観察に供した。また、5試料は走査型電子顕微鏡による観察に供した。Brown-Brenn染色の結果、観察試料の82.1%の根尖部の根管内に球状菌や桿菌の集団が認められた。酵素抗体法によりその細菌種を同定したところ、検出頻度の高かった菌種はS.sanguis,P.nigrescens/P.intermediaであった。根尖孔外への細菌の侵出が認められたのは10症例で、根管内より根尖孔外に球菌や桿菌の集団が認められた。また、根尖孔周囲をSEMにて観察したところ、5試料中4試料の根尖孔外に球菌や桿菌の集団が認めら、根管内から根尖孔外に連なっている像も観察された。これらの細菌は網目状に構造物や粘液様構造物によって被覆されており、バイオフィルムとの関連が強く示唆された。
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