研究概要 |
歯の漂白に使用されている過酸化水素(H_2O_2)はそれ自身が活性酸素であるが,様々な刺激や反応によってより強力なヒドロキシラジカル(・OH)を発生する.今回,様々な光ならびにレーザーを照射することによってH_2O_2から・OHが発生することを詳細に確認することができた.紫外線を各種濃度のH_2O_2に40秒間照射した場合,H_2O_2濃度が1mol/lまでは,H_2O_2濃度に依存して・OHが増加し,1mol/l以上ではプラトーとなった.また,1mol/lのH_2O_2に対する照射時間を変化させた場合,40秒までは照射時間に依存して・OH発生量が増加したが,それ以降はプラトーであった.また,発生した・OHを経時的に観察したところ240秒までは徐々に減少したがそれ以降はプラトーであった.次に,プラズマランプ,ハロゲンランプ,He-Ne laser, Yellow He-Ne laserをH_2O_2に照射した場合,・OHの発生量はプラズマランプ>ハロゲンランプ>He-Ne laser>Yellow He-Ne laserの順であった.また,アルゴンレーザー,炭酸ガスレーザーとプラズマランプを比較した場合においてもプラズマランプ照射における・OHの発生量は多かった.H_2O_2を根管象牙質に作用した場合の詳細について検索するために,10,20,30%のH_2O_2を作用させたところ,濃度があがるにつれ,また,作用時間が長くなるにつれ,管間象牙質,管周象牙質の崩壊がSEMによって観察された.さらに,H_2O_2と光照射がヒト歯肉培養細胞に及ぼす影響について検討したところ,プラズマランプ,あるいはハロゲンランプで照射した場合のほうが,H_2O_2単味で作用させた場合よりも,ヒト歯肉培養細胞の生存数に与える影響が大きかった.
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