研究概要 |
本研究において、申請者はlarge maf familyのメンバーの一つであるヒトmafB転写因子に注目し、以下の結果を得た。 1.これまでにmafB familyはホモダイマー形成によって、転写活性を示すことが報告されている。本研究ではロイシンジッパードメインがホモダイマー形成能に不可欠であることがyeast 2-hybrid systemを用いた実験によって確認された。また、その他のドメインはホモダイマー形成には関与していないことも明らかになった。 2.Maf familyは様々な細胞の分化と増殖に関わる転写因子であることが報告されている。そこでヒト細胞におけるmafB mRNAの分布を定量的RT-PCR法(TaqMan)によって比較検討した。様々な細胞においてmafB mRNAの発現が確認された。なかでもmonocyte cell lineのU937およびTHP-1 cell lineには顕著に発現していた。これはmafBがmonocyteからmacrophageへの分化誘導を行うことの裏付けとなる結果であった。 3.1L-2またはIL-4,12刺激によってT細胞が分化する過程で、分化初期(24hr.〜48hr.)においてmafB mRNAの発生が抑制されることが、定量的RT-PCR法によって確認された。これは細胞分化過程で発生するシグナルがmafBのmRNA発現レベルを制御している可能性が予想されるが、詳細は今後の検討課題である。
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