研究概要 |
歯科材料用モノマー[Bisphenol-A(BPA)など]や各種モノマー(単環式芳香族,シクロヘキサン環を含む化合物)におけるヒト乳ガン由来細胞(MCF-7)およびヒト歯根膜由来の細胞(HPLF)の増殖に対する影響を調べた。さらに、エストロゲンはプロゲステロン受容体(PR)を誘導することから、RT-PCR法を用いてPRmRNAの発現を検討した。 1 各種モノマーのMCF-7の増殖に対する影響について 培養条件としては、5%のDextran-coated Charcolで処理したウシ胎児血清と1%のDimethylsulfoxideを添加したPhenol Red-freeのD-MEM培地を用いて、2×10^4 cell/cm^2の細胞密度で96multi-well plateにMCF-7を播種した。播種24時間後から、BPA、各種モノマー、ジエチルスチルベストール(DES)等を添加した培地に交換した。そして、2日ごとに培地を交換して7日間培養した。その後、Diaminobenzoic Acidを用いて、DNA量を測定することにより、細胞の増殖状態を検討した。 その結果、BPAに類似した分子構造をもつ1,4-Bis(α-hydroxyhexafluoroilopropyl)benzeneや2,2-Bis(4-hydroxy-3-methylphenyl)propaneとBPAで、DESと同様のエストロゲン様活性による細胞増殖が認められた。 2 プロゲステロン受容体mRNAの発現について RT-PCR法でPRmRNAの発現を調べたところ、BPAと1,4-Bis(α-hydroxyhexafluoroilopropyl)benzeneにおいてDESと同様のPRmRNAの発現量の増加を確認した。 3 各種モノマーのHPLFの増殖に対する影響について HPLFに対して、各モノマーによるエストロゲン様作用の細胞増殖への影響はなかった。
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