研究概要 |
本研究は、市販の歯科用レジンの原材料からモノマーが溶出するのかあるいは検出できるか。さらに、歯科用レジンの原材料であるモノマーがエストロゲン様の作用を細胞(ヒト乳ガン由来細胞[MCF-7]やヒト歯根膜由来の細胞[HPLF])に対して発現させるのかなどを検討した。 1 残留する未重合モノマーの分析 残留モノマーとしてはBis-GMAやTEGDMAなどを確認できたが、BPAを検出することができなかった。 2 各種モノマーのMCF-7の増殖に対する影響について ビスフェノールA(BPA)の場合、エストロゲン様作用によるMCF-7の増殖が促進する傾向を示した。また、BPAに類似した分子構造をもつ1,4-Bis(α-hydroxyhexafluoroilopropyl) benzeneや2,2-Bis(4-hydroxy-3-methylphenyl)propaneで、DESと同様のエストロゲン様活性による細胞増殖が認められた。 Bis-GMAやTEGDMAの場合、BPAのような細胞の増殖促進は認められなかった。 3 浸漬液中に含まれるビスフェノールAの量の分析とMCF-7の増殖の傾向 義歯床用強化PC樹脂(PC樹脂)の場合、エタノールへのBPAの溶出量が最も高い値を示した。しかし、PBS(-)及び蒸留水へのBPAの溶出量は低い値であった。 PC樹脂の抽出物を添加して培養した場合、合成ホルモン剤やBPAのような細胞の増殖促進は認められなかった。 4 プロゲステロン受容体mRNAの発現について BPAと1,4-Bis(α-hydroxyhexafluoroilopropyl)benzeneにおいて、DESと同様のPRmRNAの発現量の増加を確認した。 5 各種モノマーのHPLFの増殖に対する影響について HPLFに対して、各モノマーによるエストロゲン様作用の細胞増殖への影響はなかった。
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