研究課題/領域番号 |
12671881
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 純造 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80029149)
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研究分担者 |
寺岡 文雄 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (00099805)
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キーワード | パターン用レジン / 重合収縮率 / インプラント / チタン / 金属化合物 / 加熱膨張 / 鋳型材 / 鋳造収縮率 |
研究概要 |
非収縮性パターン材については、パターンレジン(ジーシー社)のモノマーに種々の化学物質を添加し、重合収縮率の低下を試みた。添加剤としては、界面活性剤(OXO、日産化学)、水溶性モノマー(ACMO、興人)、クマロンインデン樹脂(ESCOURON、新日鐵化学)を使用した。粉液比は2.0:1.0とし、硬化時間、発熱温度、重合収縮率の測定を行った。その結果、OXOの2wt%添加により、パターン用レジンの重合収縮率を未添加パターンレジンの約1/3の0.04%まで減少させることができ、操作時間、発熱温度、最少有効濃度の点でも満足できる結果を得た。 加熱膨張型鋳型材については、鋳型の膨張材として金属化合物粉の加熱による酸化膨張に着目し、珪化物(TiSi_2、ZrSi_2)、炭化物(TiC、ZrC)、窒化物(AlN、TiN、ZrN)等の金属化合物粉を市販MgO系鋳型材セレベストD(W/P=0.18、セレック)に添加して熱膨張試験を行った。その結果、ZrC添加では、550-700℃で、ZrN添加では、600-900℃で大きな膨張を示した。それ以外の金属化合物添加による膨張は僅かであった。 そこで実際にZrC、ZrNを添加した鋳型材で、チタン鋳造冠の精度について検討した。鋳型は埋没2時間後、昇温速度2℃/minで700℃まで加熱、2時間係留後炉内で室温まで放冷した。鋳造機はキャストマチック(岩谷産業)を用い、アルゴン雰囲気にて純チタンを鋳造した。その結果、鋳造冠の浮き上がりから求めた鋳造精度は、無添加セレベストDでは1.87%収縮、ZrC3wt%で0.52%収縮、ZrN5wt%で0.29%収縮を、ZrC4wt%で0.37%膨張、ZrN6wt%で0.45%膨張を示した。これらの結果は、金属化合物粉の添加量により、鋳造冠の精度をコントロールできることを示唆した。 これらのことより、1)重合収縮の小さいパターン用レジンの開発によりパターン変形が減少できること、2)パターン材としてレジンを使うことによって生じる鋳型材の硬化膨張抑制の心配を、硬化膨張がほとんどゼロで加熱膨張だけで金属の鋳造収縮を補償できること、3)純チタンのように高温鋳型に鋳造することによる、純チタンの酸化や鋳型との反応性の増大の心配も室温鋳型により軽減できること、となり新しいチタン専用加熱膨張型鋳型材の開発の可能性が高まった。
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