研究概要 |
平成12年度には,歯周靭帯の再生機構を解明するための基礎的知見を集積することを目指し,ヒト歯周靭帯由来線維芽細胞(PLF)およびヒト歯周靭帯由来上皮細胞(マラッセ上皮遺残由来細胞:ME)の無血清培養系を確立し,growth factorを用いたgrowth assay試験を行うことにより以下の結果を得た。 1)PLFは,Iscove's modified Dulbecco培地にinsulin(10μg/ml),transferrin(5μg/ml),2-mercaptoethanol(10μM),2-aminoethanol(10μM),sodium selenite(10nM)およびoleic acid(4μg/ml)を添加した無血清培地を用いてI型コラーゲン処理したプラスチックシャーレ上で継代培養が可能であった。 2)MEは,MCDB153HAA培地にinsulin(10μg/ml),transferrin(5μg/ml),2-mercapto ethanol(10μM),2-aminoethanol(10μM)およびsodium selenite(10nM)を添加した無血清培地を用いてI型コラーゲン処理したプラスチックシャーレ上で継代培養が可能であった。 3)上記無血清培養系によりgrowth factorを用いたgrowth assay試験を行ったところ,PLFの増殖・分化にfibroblast growth factor(FGF)-1,-2-FGF receptor(FGFR)1系が重要な働きをしていることが明らかになった。MEの増殖はFGF-1およびFGF-7/KGFにより濃度依存的に促進されたが,FGF-2では促進されなかった。一方,PLFの増殖はFGF-1,-2により促進されたが,FGF-7/KGFでは促進されなかった。
|