研究概要 |
ブラキシズム解析用顎運動測定器は,一次コイルが一辺1800mmの立方体の6面に,一辺1800mmの方形空心コイルを配置した形状であり,この内部で交流磁場を形成する大型磁気空間である.この測定器の中央を原点とし,原点から±120×120×120mmの空間について,実際に形成される磁場と計算機シミュレーションから得られる理論値との比較を行った.長さ2mのアクリルパイプの先端に固定したセンサコイル(二次コイル)を精密自動リニアステージ(PI社製,M-500)を使って,測定空間を60mmごとに移動し,合計125点の位相データを収集した.格子状に分布する125点の位相データをX,Y,Zの各軸に直交する,15組の平面上の点として分割し,各面において測定値と理論値との比較を行った.15面のうち各平面に含まれる25点の測定値と理論値との差のばらつきが最も大きかったのはZ=-120mmのXY平面で,測定範囲に対し0.65%のばらつきがあった.また,最も小さかったのはX=0mmにおけるYZ平面であり,0.16%であった. また,2つの二次コイルを近接させることによる影響について検討したところ,コイル間距離を50mm以内に近づけると位相変化が認められた. 一次コイルの形成する立方体に磁気空間は底面部の歪みが最も大きく,理論値のデータを顎運動データの補正に使うためには,さらに検討が必要である.また,二次コイルを近接した状態で使用するためには,現在の二次コイルに改良を加える必要がある.
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