研究概要 |
歯科医学領域においては顕微鏡観察やレントゲンフィルム撮影等でデータを獲得する、いわゆる形態学と言う分野が非常に発達し、外形上の変化による臨床診断は現在においても重要な役割をはたしている。本研究は形態的情報を定量化し、より詳細な解析を行なって多様な情報を得ることを目的とした。 まず、歯科材料における形態的特徴を定量化するために、box counting法ならびにstick yard法により、フラクタル次元を算出し、その評価方法を検討した。等原子比合金CuAuにPtを添加すると結晶粒が微細化することが知られている。微細化された結晶粒界の形態をフラクタル解析した。試料として(CuAu)_<1-x>Pt_x(X:0,0.25,0.51,0.76,0.97,2.48,6.92at%)を作製した。均質化処理後、1073K×1時間の溶体化処理を施し、不規則固溶体を得た。エメリー研磨ならびにバフ研磨により鏡面仕上げを行なった試料を化学腐食し、結晶粒界を出現させた。組織を光学顕微鏡で撮影し、1000倍の写真上の100×100mm^2の領域で解析を行なった。Pt添加により結晶粒径が39.5μmから9.5μmまで変化した。フラクタル次元は結晶粒の減少と共にD=1.05からD=1.46まで増加した。すなわち、Pt添加により、フラクタル次元は2に近くなり、結晶粒界の形態がより複雑になっていくことが明らかになった。なお、フラクタル次元の算出に際してはJISの標準粒径パターンを利用して結晶粒径そのものの影響を除く配慮をした。
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