研究課題/領域番号 |
12671895
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
有川 裕之 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (90128405)
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研究分担者 |
塚田 岳司 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (70236850)
門川 明彦 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (00169533)
藤井 孝一 鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (60156817)
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キーワード | エナメル質 / コンポジットレジン / 光透過特性 / 拡散特性 / 色調整合性 / フィルタ / 硬化深度 / 機械的性質 |
研究概要 |
人歯および修復用材料の光学的性質のひとつである透過光の拡散特性の検討をおこなった。光透過特性は材料の色調の発現に大きな影響を及ぼすことが昨年度研究によって確認されている。フィラー形状や含有率の異なる市販修復用コンポジットレジンについて、本研究補助金により購入した分光変角光度計を用いて垂直入射光に対する±90°の範囲での透過光の拡散特性およびその波長分散特性の測定をおこなった。一方、昨年度研究によって得られたエナメル質の光透過特性に関する結果を応用し、種々の厚さのエナメル質とほぼ同じ光透過特性をもつ数種類の簡便型フイルターを試作し、これを用いて口腔内において歯質を介して光照射せざるを得ない状況でのエナメル質の光減衰作用が光重合型修復用レジンの硬化深度や機械的性質に与える影響を検討した。 その結果、材料間で透過光の拡散特性には著しい差異がみられ、0°付近に鋭いピークが存在し拡散性の低いものや、ピークがブロードで比較的フラットな拡散特性を示すものがみられた。また、同じ材料でもシェード間で拡散特性に差異がみられ、材料中に含まれるフィラーや色調整剤のタイプ、含有率によって透過光の拡散特性が大きく異なることが示唆された。さらに、どの材料も拡散角度によって透過光の波長分散特性が変化し、拡散角度が大きくなると長波長領域の光透過率が減少する傾向がみられた。こうした材料およびシェード間の透過光拡散特性の相異は材料の観測角度による色調の変化に大きな影響を及ぼしているものと思われる。一方、エナメル質に近似させたフィルターの光減衰作用が光重合型レジンの性質に与える影響については、比較的薄いエナメル質が介在する場合においてもレジンの硬化深度の減少や機械的性質の著しい低下を招くと考えられ、臨床において光重合型修復用レジンを重合させる際の光照射方法に十分注意する必要があることが確認された。
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