移植・再植歯の長期保存を目的として、ビーグル犬の歯根膜細胞を用いて実験を行った。 まず、4種類の保存液(University of Wisconsin solution. Euro-collins solution. Dulbecocos Modified Eagles medium. Isotonic sodium chloride)に歯根膜細胞を4℃にて保存した。一週間保存後に歯根膜細胞をout-growth法にて細胞の活性を検索した結果、UW液が最も良好な結果を示した。 次に保存条件の検索を行った。UW液を用いて、臓器保存温度である4℃・細胞の保存温度である-80℃・氷温保存である-2℃を設定し、それぞれの温度にてUW液中に歯を保存後out-growth法にて歯根膜細胞の活性を検索した。その結果UW液に氷温保存した歯根膜細胞は21日間保存例においても細胞の増殖を認めた。 そこでビーグル犬を用いて保存歯の再植実験を行った。保存液はUW液を使用し、保存温度は冷蔵保存(4℃)・凍結保存(-80℃)・氷温保存(-2℃)、保存期間は4・6週間とした。保存歯の再植後8週間にて屠殺し、光顕切片を製作・観察した。その結果4週間UW液にて氷温保存の歯は、再植後正常な歯とほぼ同様な状態であった。 さらなる長期保存方法の確立のために凍結保存の研究を行った。保存液(UW液)に3種類の凍結防止物質(トレハロース・グリセロール・DMSO)を添加し、濃度は0%・10%と調整した。保存温度は氷温保存(-2℃)・凍結保存(-80℃)とし、保存終了後細胞増殖試験・運動能試験の解析を行った。細胞増殖試験・運動能試験ともに凍結保存におけるU.W+DMSO、U.W+グリセロール、U.W+トレハロースの順で好成績を示した。
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