研究概要 |
初年度に引き続き本年度においても歯科および歯科関連化学物質のエストロゲン様活性を3種類のin vitroエストロゲン様活性試験(酵母two-hybridシステム,蛍光偏光度測定法,ヒト乳ガン細胞増殖試験)を用いて測定した.その結果,50種類の化学物質のデータを得ることができその活性と化学構造との関係について明らかにした.さらに,側鎖の短いBPA関連化学物質の多くで,薬物代謝酵素の影響によってエストロゲン様活性が上昇したこともわかった. ビスフェノールA(BPA),Bis-GMAに薬物代謝酵素を作用させ高速液体クロマトグラフィーを用いて分析を行った.その結果BPA, Bis-GMAともに代謝産物とみられるピークを検出した.しかし,両ピークとも非常に小さく,同定には至らなかった.また,BPAの代謝産物と予想される2-(3,4-dihydroxyphenol)-2-(4-hydroxyphenol)について上記3種類のエストロゲン様活性試験を行ったところBPAよりも小さいものの全ての試験でエストロゲン様活性があらわれた. また,4,4-Dihydroxybenzophenoneと4,4-dihydroxydiphenyl sulfoneを用いた試作ジメタクリレートは,歯髄細胞に対する細胞毒性またはサイトカインの発現量から判断してBis-GMAと比較して,生体適合性が高いことが分かった.さらに,4,4-dihydroxydiphenyl sulfoneから合成されたジメタクリレートから試作されたコンポジットレジンは,Bis-GMAからのものと同程度のヌープ硬さを得ることができた.
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