研究概要 |
今年度は、前年度に合成した人工脂質に加え、さらに7種の人工脂質を合成した。すなわち、前年度に用いた3種のn-アルキルアルコール(n-octyl alcohol、n-decyl alcohol, n-dodecyl alcohol)に加え、さらにアルキル鎖長の異なる4種のn-アルキルアルコール(n-hexyl alcohol、n-tetradecyl alcohol, n-hexadecyl alcohol, n-octadecyl alcohol)とL-アラニン、グリシン、L-グルタミン酸から7種の人工脂質を合成し、合計16種類の人工脂質を用いた。糖類としてはアルギン酸に加え、ヘパリンを用いた。前年度と同様の方法で人工脂質を蒸留水あるいは難溶性の人工脂質はエタノール50%水溶液に溶解した。これらの溶液と同様に蒸留水に溶解したアルギン酸あるいはヘパリン水溶液とを撹拌混合し、白色懸濁溶液を得た。この白濁溶液を遠心分離機で分離し、蒸留水あるいはエタノールにて洗浄した。洗浄、遠心分離の工程を数回繰り返した後に最終的に遠心分離した沈殿物を凍結乾燥で24時間乾燥し、白色粉末の人工脂質被覆アルギン酸あるいは人工脂質被覆ヘパリンを得た。これらの人工脂質被覆糖類は、アルキレン鎖の短い人工脂質で被覆した糖類やアルキレン鎖の最も長い人工脂質で被覆した糖類を除き、クロロホルム-エタノール混合溶液に溶解した後、溶媒を除去すると膜状を呈した。一方、BMPの抽出・精製は前年度と同様に行った。 人工脂質で被覆したアルギン酸、ヘパリンは組織に対しての炎症反応は認められず、組織へも吸収された。また、ラットの大腿骨に埋入した人工脂質被覆BMPは、良好な骨の造成が認められた。また、病理組織像からは炎症反応は認められず、早期に組織へ吸収されていた。
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