研究課題/領域番号 |
12671929
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科系歯学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
永田 昌毅 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10242439)
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研究分担者 |
星名 秀行 新潟大学, 歯学部・附属病院, 講師 (30173587)
朔 敬 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40145264)
高木 律男 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20143795)
藤田 一 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60271805)
依田 浩子(米持 浩子) 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60293213)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / マイクロアレイ / 遺伝子発現 / 転移予後 / 診断 / 免疫組織染色 / MMP / uPA |
研究概要 |
口腔扁平上皮癌(OSCC)の分子診断技術の閉発を目的に、約500種の癌関連遺伝子を載せたマイクロアレイによる遺伝子発現解析を行った。癌組織間あるいは計測間の偏りを排除するために、分析した全15腫瘍において正常粘膜に対する発現量比が減少または増加した遺伝子を選定した。遺伝子発現の一様な減少はRetinoic acid receptor gamma、ケラチンfamily分子とdesmosome構成分子群などにみられた。一方で増加はMMPs, uPAなど細胞外基質分解酵素系とTenascin C, Fibronectin1などの細胞外基質(ECM)、MIG、IP-10、STAT1、BIGH3など増殖因子の刺激伝達に関係する遺伝子に見出された。クラスター解析の結果でもこれらの遺伝子産物には発現様式の類似性が見出された。概して、OSCCは上皮構造の喪失、盛んな組織破壊と癌間質形成、細胞刺激伝達系の乱れを示していた。リンパ節転移の有無による群間比較では、転移を有する腫瘍でMMPs、uPA、CD44、Integrin a3、Paxillinの発現増加とCD9、IGFBP2の発現減少がみいだされ、リンパ節転移形成にECM分解酵素群とともに細胞-ECM接着を介した刺激伝達の関与が示唆された。免疫組織学的染色においてMMP1、MMP3、uPAは腫瘍間質内の炎症性細胞、脈管内皮細胞、ECMに局在した。特に炎症性細胞浸潤内のエオジン好性単核紬胞にそれらの強い陽性所見がみられ、その周囲でコラーゲン繊維の破壊像と脈管の新生像が確認された。この組織学的所見は遺伝子発現解析で予想された分子間の共調的発現と機能的共役性を裏付けている。特にMMP1はリンパ節転移形成と強い相関(U=0、p=0.001)を示し、単独でリンパ節転移の鋭敏なマーカーになり得ることが示唆された。今回の雑多な細胞成分からなる、OSCC全組織の遺伝子発現様相を対象にしたが、共通の発現傾向の抽出、クラスター解析、臨床所見と関連性および分子の組織内局在の検討によって、診断学的に有用な遺伝子発現の変化を同定できた。
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