1.リコンビナントBMP-2(rhBMP-2)用いて作製した自家誘導移植骨および凍結乾燥処理を行った他家骨を骨欠損部に移植してその修復状態を比較した。 2.コラーゲンを担体としてこれにrhBMP-2(50μg)を浸透させた後、凍結乾燥して直径4mmのペレットを作製した。これを自家誘導移植群のラットの腹直筋内に移植し、暫時、軟X線写真を撮影し、6週後に腹直筋内に形成された新生骨(自家誘導骨)を摘出した。そして同一ラットの頭蓋骨に直径4mmの骨欠損を形成し、その欠損部へ形成された自家誘導骨を移植した。 3.屠殺したラットの頭蓋骨から採取した直径4mmの骨片を凍結乾燥し他家骨移植群用の移植骨を作製した。これを他家骨移植群のラットの頭蓋骨に作製した直径4mmの骨欠損部へ移植した。 4.移植6週後に両群のラットを屠殺し移植部を摘出し、これをH-E染色後、鏡顕した。 5.その結果、自家誘導骨移植群においては、移植3週後には、移植骨と母床骨の間には毛細血管を含んだ線維性組織と結合性組織が介在し、一部に母床骨からの新生骨梁の発育が認められた。また、これは移植骨と母床骨の近接部に特異的に観察された。移植6週後には、母床骨と移植骨間の線維組織中の毛細血管は減少し、母床骨側縁部からの新生骨梁の発育はさらに著明となり、移植骨と母床骨の近接部位においては新生骨が両者を連結している箇所も認められた。移植9週には、母床骨側の辺縁全体に新生骨梁が発育しており、移植骨と母床骨の離開が残存している部分においても、孤立性に骨組織が認められた。また、移植骨が吸収を受けた所見は認められなかった。一方、他家骨移植群は、移植3、6、9週後のすべてにおいて、移植骨と母床骨間は線維性結合組織で満たされるのみで母床骨からの新生骨の発育は認められなかった。 6.以上の所見から、他家骨移植に比べ、自家誘導骨移植は優れた移植法であることが示された。
|