研究課題
本年度の研究では生体肝移植患者についての術前診査プロトコールの作成と問題点について検討を行った。煩雑な外来で如何に簡素化された診査プロトコールを作成すべきかが問われ、また診査内容では歯周疾患と、症状を伴わない根尖性歯周炎の評価が今後の課題として残された。またFK-506(免疫抑制剤)の長期投与を行っている症例の口腔内診査を行い、1)サイクロスポリン例に観察されるような歯肉の過形成などの徴候はみられないこと、2)PMI indexでは重度の歯肉炎の発症はみられないこと、3)一方で、顎と歯列の劣成長が伺われることを見い出した。症例検討では、術前には明らかな炎症症状を認めなかった根尖性歯周炎が移植後に敗血症の発症に関わったと疑われる症例、あるいは術前に抜歯を含む外科的処置を医学的管理下に行った症例が重篤な経過を辿り、移植手術の時期を延期せざるを得なくなった例などについて検討し、臓器移植医療における歯科口腔疾患の術前/術後管理の必要性と重要性について学会発表を行った。
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