研究課題/領域番号 |
12671933
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科系歯学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村上 賢一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00174269)
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研究分担者 |
高橋 克 京都大学, 医学研究科, 助手 (90314202)
坪井 陽一 京都大学, 医学研究科, 講師 (60221420)
飯塚 忠彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (80026921)
木内 哲也 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40303820)
山村 功 京都大学, 医学研究科, 助手 (90332733)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 臓器移植 / 歯性感染 / 免疫抑制剤 / 口腔疾患管理 / タクロリムス |
研究概要 |
これまでに経験した生体肝移植症例で術前/術後の口腔疾患管理に難渋あるいは問題を生じた症例について検討した。生体肝移植後に歯性感染症が関わると考えられた敗血症の一例では、通常では問題にならない慢性の根尖病巣が局所の重篤な感染を併発させ、さらに因果関係は確定できないものの敗血症の発症と密接な関係を有することが示唆された。本検討では移植術後の血液培養結果の菌種と歯性感染症に共通する菌種が少なからずみられることを示した。一方、生体肝移植術前患者の抜歯後に重篤な感染症を併発した一例では、移植前に予防的に感染源を外科的に除去するリスクについて警鐘を発した。即ち、肝機能が大幅に低下している中での外科的処置は止血処置に困難が伴い、局所の感染を惹起させ、さらに本例では呼吸器感染の併発がみられ、移植そのもののタイムスケジュールを延期せざるを得なくなった反省すべき症例であった。これらの経験を踏まえ、生体肝移植術の術中、臓器移植直後に手術室で抜歯を施行した2症例を経験したので、術中処置の利害得失について考察も加えて報告した。放置できない明らかな感染病巣については移植直後の手術室での処置も選択枝の1つと考えられた。しかし止血処置、recipientへのcomplicated medical riskなど解決すべき問題は山積している。 一方、生体肝移植症例はすでに500例を越えており、その大多数に対して、当科は歯科口腔疾患の術前診査を行い、周術期の歯科口腔衛生管理に携わってきた。しかし退院後のレシピェントの状態については十分に把握されていなかった。そこで、移植後経過が良好で、免疫抑制剤を長期に服用しながら日常生活に復帰している生体肝移植レシピントを歯科口腔外科的立場から調査を行った。対象は、4歳6ケ月から13歳11ケ月までの小児10例で、うち男5例、女5例。投与されている免疫抑制剤は、タクロリムスの単独が5例でその他は他剤の併用であった。その結果、プラーク・コントロール不良例でも歯肉の炎症の程度が軽度である傾向が見られ、タクロリムス服用例ではいわゆる歯肉増殖症は認められなかった。また、発育空隙(-)およびAngle Class III症例が多く、上顎劣成長が示唆された。さらに長期の観察と多数例での観察が必要と考えられた。
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