研究概要 |
平成12年度は非増殖性アデノウイルスベクターの精製を行ない,その結果,アデノウイルスベクターとしてAxCABMP-2: 3.5×10^<10>pfu/ml,コントロールとしてAxCALacZ: 5.0X10^9pfu/mlが得られた.このウイルス液を用いてヒト筋芽細胞に感染させて,ALP活性およびオステオカルシンを測定し,ALP activityにおいてはBMP MOI-20で1.3IU/mg protein,コントロールのLacZ MOI-20ではOIU/mg protein.またOsteocalcinにおいては,BMP MOI-20で80ng/ml,コントロールのLacZ MOI-20では1>であった. このウイルス液を用いて平成13年度は生物検定を行なった. I.異所性骨誘導能の発現の確認. 1.免疫抑制下におけるBMP-2遺伝子発現アデノウイルスベクター(AxCAOBMP-2)をラット筋肉内に25μl,5μlを注入し,21日後にX線学的,組織学的に評価を行ない,AxCAOBMP-2の投与量に依存して骨誘導活性が増加した. 2.免疫抑制下におけるBMP-2遺伝子発現アデノウイルスベクター(AxCAOBMP-2)による骨誘導能を経時的に調べた.正常ラット筋肉内に25μgを,また免疫抑制下ラット筋肉内に25μg,5μgのAxCAOBMP-2を注入し,7,14,21日後にX線学的,組織学的,免疫組織化学的,生化学的に評価を行なった.骨誘導は14,21日後で免疫抑制下の全ての群にみられたが,骨誘導活性はAxCAOBMP-2の注入量に依存していた.7日目では免疫抑制下の多量注入において,明らかに組織内のBMP-2蛋白の発現が多くみられた. II.同所性骨誘導能の発現の確認. 1.ラット下顎骨欠損(n=5; 4x4x3mm)を設け,AxCAOBMP-2)を5μlを注入し,7,14,21日後にX線学的,組織学的に評価を行なった.結果はX線撮影では14,21日後の骨欠損部(n=5)に不透過像が確認され・同部の組織標本では7,14日後では幼若な骨組織が大半を占め,21日後では骨髄組織を含んだ骨皮質で修復されていた.同期間では異所性に比べ同所性は骨誘導量が多い.これはrhBMP-2蛋白と同様に骨伝導能と骨誘導能の相加効果が得られたものと思われる.BMP-2遺伝子発現アデノウイルスベクターは,顎骨欠損に対しての修復剤として有用であると考えられる.
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