研究概要 |
本研究ではイノシトール1,4,5-三リン酸[Ins(1,4,5)P_3]/Ca^<2+>系におけるプレックストリン相同(PH)ドメインの役割をホスホリパーゼーC(PLC)-δ1PHドメインおよび我々が見い出した新規の結合蛋白(PRIP-1)PHドメインを中心に調べた。 PLC-δ1PHドメイン、PRIP-1PHドメインの過剰発現系のHeLa細胞を作成し、Ins(1,4,5)P_3/Ca^<2+>系への影響を調べた。その結果PLC-δ1PHドメインは膜に存在するPI(4,5)P_2に結合してIns(1,4,5)P_3の産生を抑制し、さらに産生されたIns(1,4,5)P_3にも結合して小胞体からのCa^<2+>の放出を抑制するのに対し、PRIP-1PHドメインはIns(1,4,5)P_3の産生を抑制することなく産生されたIns(1,4,5)P_3と結合してIns(1,4,5)P^3レセプターへの結合を阻害することにより小胞体からのCa^<2+>放出を抑制することが分った。また、種々のリコンビナントGFP-PHドメインをHeLa細胞に遺伝子導入し、その局在および刺激に対する局在の変化を調べた。PLC-δ1PHドメインはPI(4,5)P_2に結合して膜に存在し、刺激に対しPI(4,5)P_2が分解されIns(1,4,5)P_3が産生されると同時に細胞質へと移動する。一方PRIP-1PHドメインは刺激による局在の変化は認められなかった。さらに、各種PHドメインコンストラクトのうちN末端より24-81残基を含むものは細胞質に、一方含まないものは膜に局在した。このことよりPRIP-1PHドメインのN末端より24-81残基のアミノ酸配列がその細胞内分布を決定していることが分った。さらにこれらの細胞内Ca^<2+>抑制といった現象が細胞増殖を抑制した。
|