研究課題/領域番号 |
12671948
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松木 範明 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (90284520)
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研究分担者 |
兼松 隆 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (10264053)
平田 雅人 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (60136471)
大石 正道 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (70037505)
松田 美穂 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (40291520)
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キーワード | イノシトールリン酸 / アポトーシス / HeLa細胞 / 細胞生存 / NFκB / カスパーゼ |
研究概要 |
自然界に多く存在するイノシトール6リン酸(InsP_6)は抗腫瘍作用をもっことが報告されているが、未だそのメカニズムは明らかにされていない。本研究では、InsP_6が抗腫瘍剤として作用するメカニズムを検討するとともに、我々が見い出した新規Ins(1,4,5)P3結合性蛋白質(PRIP)の関わりについて検討した。InsP_6で処理したHeLa細胞について、その生存細胞数の計測、ヘキスト及びタネル染色を行ったところ、アポトーシスの誘導が認められた。[^3H]InsP_6存在下で培養すると脱リン酸化型のイノシトールリン酸類が検出されることから、InsP_6或いはその代謝産物によってアポトーシスが誘導されているものと考えられた。そこで、InsP_6によるアポトーシスの誘導を(1)細胞生存経路の阻害(2)アポトーシスの直接的な誘導の2つの観点から検討した。HeLa細胞をTNFまたはインスリンで処理したところ、Akt/NFκBを含む細胞生存経路が活性化された。このことは、Akt、IκBがリン酸化され、NFκBの核移行が見られ、またNFκBルシフェラーゼアッセイにより転写活性が上昇していたことから確認された。InsP_6はこれら全ての過程を抑制したが、P13K活性には影響しなかった。さらにInsP_6はシトクロムCの遊離に続くミトコンドリア膜透過生を亢進させ、続いて生じるカスパーゼ9および3活性をあげたことからアポトーシス機構を直接に活性化させる作用もあると考えられた。この結果は、細胞外に加えたInsP_6による抗腫瘍作用のメカニズムの一端を明らかにした。PRIPを形質変換した細胞を用いて同様の実験を行ったが、本質的には同じ結果が得られた。
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