研究概要 |
ドイツ連邦共和国ベルリン市フンボルト大学シャリテ病院感染症科に通院している血清HIV抗体陽性患者で過去6か月以上Highly active antiretroviral therapy(HAART療法)を受けている患者50名を対象として口腔内病変について検索し、口腔カンジダ症の有無、カンジダ菌種について同定した。 結果、患者の内訳は男性42名、女性8名で、年齢は24歳から61歳におよび平均41.5歳であった。感染経路は男性の同性愛による感染が29名と最も多く、異性間性交感染が6名、薬物静注常習による感染が7名、残り8名はその他の感染経路による感染であった。CDC-stage分類では、A1が1名、A2が8名、A3が1名、B1は1名、B2が6名、B3が13名、C1とC2はいなくてC3が20名でAIDSと診断されるA3、B3、C3の合計は34名であった。口腔内病変では口腔内カンジダ症単独が27例に認められ、カンジダ症に他の病変を併発したものが11例、口腔毛状白板症単独が2例、口腔病変が認められないものが10例であった。カンジダ菌の検出されたものは38例で、同定されたカンジダ菌はCandida albicans, Candida glabrata, Candida krusei, Candida tropicalisであった。カンジダ症病変部の走査型電子顕微鏡による観察では、上皮細胞の表面にくいを打ち込んだように侵入している細長くのびたCandida albicansの菌糸と球状に付着する酵母状菌体が立体的に観察された。
|