研究概要 |
われわれはこれまでに口腔癌症例を対象として,血清サイトケラチン19フラグメントの測定を行い,早期癌の診断,進行の判定,治療効果の判定に有用であることをあきらかにしてきた.この研究により,口腔癌の多くを占める扁平上皮癌に関しては,これまで最も優れた腫瘍マーカーとされてきたSCC抗原より感度および特異度が高く,腫瘍マーカーとして優れているものと考えられた.本研究は,この優れた腫瘍マーカーである血清サイトケラチン19フラグメントの半減期の測定により,治療後の口腔癌の再発予測が可能であるかの検討を行うことを目的とする. 平成12年度研究では,治療後の血清サイトケラチン19フラグメントの半減期を求めるために必要な検体の採取間隔について検討を行った.そのために口腔癌患者8症例についてほぼ毎月血清サイトケラチン19フラグメントの測定を行った.さらに本年度横浜市立大学医学部附属病院口腔外科を受診した口腔癌一次症例2例について,治療後一週間隔で測定を行い半減期を求め,毎月測定した場合との精度の比較行っている.血清サイトケラチン19フラグメント値の測定はEIA法によるキット(エンチムンテストシフラ,ベーリンガー・マンハイム社)を用いて行っている.切除手術を行う症例は,初診時,手術直前の値を測定しておき,手術後は一週間隔で測定を行っている.放射線治療を行う症例は,初診時,照射直前の値を測定しておき,照射開始後は一週間隔で測定を行っている.値が定常状態になったところで半減期を算出し,その後は月一回の測定とする予定である.また,治療後は局所再発,頚部リンパ節転移,遠隔転移についての厳重な経過観察を行い,得られた半減期との関連について検討することとしている.
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