研究概要 |
当大学で金属シリーズのパッチテストを施行し、正確に判定された歯科及び皮膚科外来受診患者64名と正常人ボランティア73名に、Ni,Pd,Au,Co,Cr,Hgの市販パッチテスト試薬を用いたLTT法とCAST法を施行し、パッチテストの結果と比較検討した。LTT法は通常の薬剤アレルギー検査と同様に希釈系列を50,250,1250,6250,31250,156250倍とし、3日間と6日間培養でそれぞれS.I.(%)を測定した。一方、CAST法も通常の食物アレルギー検査に準じた。まず、金属塩によるバックグラウンドを測定し、120%以下となる最低希釈倍率より、10倍希釈で5段階まで施行した。Niでは、LTT法は3日培養では健常者の偽陽性が多いが、1250倍希釈で、500%以上を陽性とすると、特異性が高く、有用と考えられた。ただし、6日培養での6250倍か31250倍希釈が有用である可能性も否定できなかった。CAST法は一部のパッチテスト陽性者で陽性となり、パッチテスト陰性郡の偽陽性は認められないので、一つの指標となりうると考えられた。Pdについては、LTT法で250倍希釈の3日培養で有用な成績が得られた。しかし、さらに希釈した条件での6日培養の有用性もさらに検討する必要があると考えられた。CAST法では、ほとんどの症例でパッチテスト陽性者と陰性者の差がなく、あまり有用ではないと考えられた。Auは3日培養、50倍希釈が最も感度、特異性とも高く、有用と考えられたが、1250以上の希釈倍率で6日培養の条件のさらなる検討が必要と考えれた。Coは3日間培養では6250倍希釈が有用であった。しかし、6日間培養で健常人では偽陽性が検出されず、6日培養の条件について患者郡のデータ集積中である。Cr,Hgについては、陰性・陽性とも件数が不十分であり、今後さらに検討する予定である。
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