研究概要 |
当大学で金属シリーズのパッチテストを施行し、正確に判定された歯科および皮膚科外来受診患者211名と正常人ボランティア108名にNi, Pd, Au, Co, Cr, Hgの市販のパッチテスト試薬を用いたLTT法とCAST法を施行し、パッチテストの結果と比較検討した。LTT法は通常の薬剤アレルギー試薬と同様に希釈系列を50,250,1250,6250,31250,156520倍とし、3日間と6日間培養でそれぞれS.I.(%)を測定した。また、CAST法は通常の食物アレルギー検査に準じ、まず金属塩にょるバックグラウンドを測定し、120%以下となる最低希釈倍率より10倍希釈で5段階まで施行した。LTT法については、Niでは、3日間培養では1250倍が最大値となるが、偽陽性が多く、250倍と6250倍の両者の最大値で判定するのが現時点では最適な方法と考えられた。6日間培養の有用性については陽性例が少なく、結論が得られなかった。Pdでは、3日間培養では250倍が至適条件であるが、6日間培養では偽陽性が多く、3日間培養の1250倍との最大値をとる方法や、これらの希釈倍率の4日間、5日間培養についてさらに検討が必要と考えられた。Auでは、3日間培養では50倍が至適条件であるが、6日間培養の有用性については陽性例が少なく結論が得られなかった。Coは、3日間培養では6250倍が至適条件であるが、6日間培養は陽性例をさらに検討する必要がある。Cr, Hgについては3日間培養については有用性がないと考えられたが、6日間培養についてはさらに症例を検討する必要がある。CAST法については、Auは1倍希釈で有用性が認められたが、他の金属では感度が低く、有用性は無いと推測された。ただし、いずれの金属も陽性例の検討が少なく、さらに症例を集積する必要がある。
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