研究概要 |
悪性腫瘍により顎顔面が切除された症例に対する咀嚼機能の回復は、QOLの面から大変重要なテーマである。臨床的にはこれらの症例に対して、インプラントを応用して機能の回復を図っている。しかし条件の悪い母床に用いられるため、既存のインプラント素材ではその成功率は低いことが知られている。そこでDiopside-BMP複合インプラントの開発を目指してこの研究を進めている。 今年度は成犬を用いて条件の悪い母床(広範囲な骨欠損に対して遊離骨移植群および血管柄付き骨移植群)に対して、インプラントを埋入しその周囲の骨結合について観察した結果、血管柄付き移植群では早期から旺盛な新生骨の形成によってインプラントは確実な骨結合を示した。しかし遊離骨移植群では骨の吸収が続き、インプラントと骨との結合は移植した骨が完全に吸収され置換されるまで長期間かかることが明らかとなった。 また家兎を用いてrhBMP-2の担体実験を行ったところ、アテロコラーゲンスポンジとポリ乳酸グリコール膜を用いることにより、早期に確実な骨形成が得られ下顎骨をもとの形態に回復することが可能であった。 さらにチタン芯材周囲に約1μmのHA薄膜をコーティングしたインプラントを開発し、過剰に形成したインプラント床に埋入したところチタンと比較して早期に骨結合することが明らかとなった。 以上の結果を第46回日本口腔外科学会総会(平成13年10月25,26日:鹿児島)、第5回日本顎顔面インプラント学会総会(平成13年11月16、17日:京都)において発表した。
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