研究課題/領域番号 |
12671967
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科系歯学
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
武田 栄三 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (20322472)
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研究分担者 |
丹沢 秀樹 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (50236775)
柴原 孝彦 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (50178919)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 口腔癌 / メチル化 / APC遺伝子 / 細胞接着因子 / 転移 / カドヘリン |
研究概要 |
ヒト悪性腫瘍の転移関連因子として、細胞接着因子であるカドヘリン(E-cadherin)などが知られている。近年、それらのタンパク質の代謝に家族性大腸ポリポーシスの原因遺伝子と考えられているAPC(adenomatous polyposis coli)遺伝子が関与していることがわかってきた。しかし、口腔癌においてこれらの遺伝子がどの程度関与しているのか、あるいはその遺伝子の異常の比率、臨床上の予後、転移との関連性については未だ明らかではない。したがって、本研究では口腔癌における細胞接着因子の検索、およびその調節に深く関わっていると考えられているAPC遺伝子の異常について検索を行い、口腔癌の転移、予後等との検討を行った。 腫瘍原発組織52検体についてPCR-SSCP法、PCR-methylation法、および免疫組織学的染色を行い、E-cadherinの遺伝子変異状況、DNAメチル化の状況、タンパク質の発現状況の検索を行った。また、腫瘍原発組織25検体についてRT-PCR法、MSP法、免疫組織学的染色を行い、APC遺伝子のDNAメチル化の状況、mRNAの発現状況、タンパク質の発現状況の検索を行った。 その結果、E-cadherinタンパク質は腫瘍の分化度、浸潤度、リンパ節転移との間に統計学的な有意差を認め、腫瘍の分化度が低く、浸潤傾向が強く、リンパ節転移の起こしているものにタンパク質の欠失がみられた。また、E-cadherin遺伝子の配列に変異は認められなかったが、プロモーター領域の高メチル化は17%に認められた。以上のことから、E-cadherin遺伝子は口腔扁平上皮癌の進行に関与している可能性があり、またE-cadherinの不活性化にはDNAのメチル化が関連していることが示唆された。 APC遺伝子は8種類の細胞株のうち3種類の細胞株のみにDNAのメチル化が認められたにすぎなかったが、mRNAは約半数で発現減弱を認めた。APCタンパク質も23%で発現減弱が認められた。以上のことからAPC遺伝子の不活性化にはDNAのメチル化ではなく未知なる別の経路が存在することが示唆された。
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