研究概要 |
骨欠損後の治療にはの生体材料を填入するなどの方法が行われているが,これらの材料は多くの問題点が残されている。そこで,組織工学的手法を用いてハイドロキシアバタイト(HAP)-骨-骨芽細胞片を作製し,これによる異所性骨形成を詳細に検索した。 【材料と方法】 体重約100gのラットを用いた。長骨より骨髄細胞を分離して多孔性HAPを培養シャーレにおき,BMPを含むα-MEM培地で7日間培養を行いHAP-骨-骨芽細胞片を得た。 次いで,同腹のラット下顎の下顎突起にラウンドバーで骨欠損を形成した。HAP-骨-骨芽細胞片をこの骨欠損部に移植して1,2,3,4,7,14日後に固定を行った。対照実験ではHAPのみを移植した。 BMPおよびreceptorに対しては傾向probeを作成してFISH法を行い,共焦点走査顕微鏡で観察歯た。 【成績】 培養したHAP 培養後7日のHAP-表面には骨髄の細胞から分化した骨芽細胞が多数結合していた。HAPと骨芽細胞の間には薄い骨様の組織が形成去れている像が観察された。 移植実験 移植後1日目では移植片の周囲に炎症がみられた。3日目では移植片の周囲の結合組織に新生された多数の毛細血管が観察された。移植後5日目では移植片周囲には新生骨の形成が観察され,7日めでは新生骨が形成される量は増加した。 対照実験では,移植後3日ではHAPが吸収され14日後でも骨形成はみられなかった。 ISHおよび免疫組織化学ではBMPおよびそのreceptorはHAP周囲の骨芽細胞に発現しており,BMPはおもにautocrineとして作用していることが判明した。
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