研究概要 |
環境ホルモンの示すエストロゲン様作用の口唇口蓋裂発生に対する影響を検討で、今回の研究では環境ホルモンとして2,3,7,8-四塩化ダイオキシンと、ビスフェノールAを用いる予定であるが、2000年度から2001年夏にかけて、愛知学院大学歯学部の新築改装工事による研究室の移転にあたり、ダイオキシン類は管理上の問題から使用できないため、本年度は文献収集と投与量などの検討と、ビスフェノールAを用いた予備実験を研究協力者中村友保(愛知学院大学・歯学部・口腔外科学第二講座・助手)と共に行った。 口唇口蓋裂が自然発生するA/J系マウスにおいて、エストロゲンの口唇口蓋裂発生抑制作用が最も認められたのは、妊娠9日目の投与であるため、薬剤投与は妊娠9日目に行った。ビスフェノールAの妊娠マウスへの投与実験では、ビスフェノールAの胎仔への移行が確認されている。また、ラットを用いた投与実験では経口、皮下、腹腔内投与において、7日間で投与量の86〜96%が糞便中に排泄され、残留する量は特に臓器別差異はないと報告されている。 ビスフェノールAの投与は、0、1,10,100mg/kgとなるようにA/J系マウスの妊娠9日目に背部皮下投与した。その結果はコントロール群では口唇口蓋裂の発生率は8.8%であった。10mg/kg投与群では口唇口蓋裂発現率は変化なかったが、100mg/kg投与群では口唇口蓋裂の発生率は約20%に増加した。1mg/kg投与群では口唇口蓋裂の発生率は5%と低い傾向を示した。 A/J系マウスは妊娠率が低くサンプル数が少ないため、2001年度は、まず例数を増やし、ビスフェノールAの作用の確認を行い、より細かい投与量を設定し、追加実験を行う予定である。 研究室の移転が終了し、ビスフェノールAの作用の確認後、同様の実験を2,3,7,8-四塩化ダイオキシンを用いて行う予定である。
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