研究概要 |
【目的】 環境ホルモンに関連したビスフェノールAは、女性ホルモン様作用を有するため、生殖機能のみならず、口唇口蓋裂の発生に対する影響も否定できない。そこで、妊娠中のビスフェノールAの口唇口蓋裂発生に及ぼす影響を検討した。 【方法】 A/J系マウスを使用し、胎齢9.5日(膣栓確認日=0日)にビスフェノールAを1,10,100mg/kgになるようにオリーブ油に溶解して腹腔内投与した。そして、胎齢18.5日に胎仔を確認した。 【結果】 コントロール群の口唇口蓋裂発現率は8.8%であったのに対して、100mg/kg投与群の口唇口蓋裂発現率は約20%にまで上昇した。10mg/kg投与群においては約9%と変化は認めなかった。1mg/kg投与群ではその割合は約5%とやや減少傾向を示したので、平成14年5月に岡山にて開催される日本口蓋裂学会総会にて成果を発表予定である。 なお、環境ホルモンの示すエストロゲン様作用の口唇口蓋裂発生に対する影響を検討するため、当初の計画では環境ホルモンとして2,3,7,8-四塩化ダイオキシンと、ビスフェノールAを用いる予定であった。平成12年度は文献収集とビスフェノールAを用いた予備実験を行い、平成13年度にビスフェノールAの作用の確認を行う計画であった。実験には口唇口蓋裂が自然発生するA/J系マウスを日本SLCから入手予定であったが、日本SLCにおいて感染症が発生し、系の実験は予定より遅れている。
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