研究課題/領域番号 |
12671976
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科系歯学
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
新美 照幸 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (60291762)
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研究分担者 |
中村 友保 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (50333167)
古川 博雄 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (70291763)
夏目 長門 愛知学院大学, 歯学部, 特殊診療科教授 (90183532)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 環境ホルモン / 口唇口蓋裂 / マウス / ビスフェノールA / 催奇形成物質 / teratogenicity |
研究概要 |
【目的】口唇口蓋裂の発現には、母体環境の影響を強く関与しており、口唇口蓋裂が自然発生するA/J系マウスにエストラジオールを投与することによって、口唇口蓋裂の発現率が減少することから、顔面の発生にも種々のホルモンが影響する可能性は否定できない。内分泌撹乱物質(環境ホルモン)は、女性ホルモン様作用を有しており、人体への影響が危倶されている。そこで、環境ホルモンの口唇口蓋裂発生に対する影響の有無を検討した。 【方法】実験動物はA/J系マウス(日本SLC)を用いた。妊娠中のエストラジオール投与により、A/J系マウスの口唇口蓋裂の発現率が最も低下するのは、妊娠9日目であったため、ビスフェノールAの投与も妊娠9日目に行った。ビスフェノールAの投与量は、他の研究を参考に決定し、0、0.01、0.1,1,10mg/kgとし、オリーブ油に溶解して皮下投与した。そして、妊娠18日目に口唇口蓋裂の有無などについて観察した。 【結果】対照群の口唇口蓋裂発現率は7.82%であった。0.01mg/kg投与群では4.08%、0.1mg/kg投与群では1.96%、1mg/kg投与群では4.91%、10mg/kg投与群では7.31%であった。口唇口蓋裂の発現率は、ビスフェノールAの投与量が0.01mg/kg投与群で4.08%と減少し、0.1mg/kg投与群で1.96%と最も低かった。しかし、1mg/kg、10mg/kgと投与量が増えるに従って、口唇口蓋裂の発現率は増加していた。 【考察】ビスフェノールAは分子量が小さく、胎盤を通過して胎仔へも移行するとされ、エストロゲンレセプターに結合して、微量でも女性ホルモン様作用を示すと考えられている。 顎顔面の発生には、頭部神経堤細胞が重要な役割をはたしており、その移動や、増殖の障害により口唇口蓋裂を初めとする先天異常が発生することが知られている。ビスフェノールA投与を行った胎齢9日目の胎仔では、神経堤細胞の遊走はほぼ終了していると考えられるため、ビスフェノールAは移動後の細胞に働き、その増殖に対して促進的に作用したのではないかと考えられた。また、環境ホルモンは、大量投与では口蓋裂などの先天異常を誘発することから、0.1mg/kg投与群では口唇口蓋裂の発生に対して抑制的に作用するが、1mg/kg、10mg/kg投与群では催奇形性がでてくるため、その結果として、口唇口蓋裂の発現率が上昇したのではないかと考えられた。 今回の検討は、ビスフェノールAの投与が妊娠9日目における単一投与であるため、投与法、投与期間などのさらなる検討が必要と考えられる。
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