研究課題/領域番号 |
12671982
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 隆昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (40230560)
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研究分担者 |
伊福部 達 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70002102)
山方 秀一 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (70292034)
飯田 順一郎 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (90151232)
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キーワード | 骨格性咬合不全 / 口腔機能障害 / 舌運動 / 音響的特徴 |
研究概要 |
日本語5母音の音響的特徴を明らかにするとともに舌運動との関連性について検討した。被験者には、骨格性反対咬合で外科的矯正治療の適応と診断された患者17名(男性5名、女性12名、平均年齢21.2歳)および、健常者13名(男性8名、女性5名、平均年齢28.6歳)を用いた。被験音には、/asa/、/i∫i/、/usu/、/ese/、/oso/の5音節を用いた。 防音室内において、被験者を楽な姿勢で椅子に座らせ、各音節を会話レベルで発声させた。口唇より約10cm前方に置かれたコンデンサー型マイクロホンを用い、被験音をデータレコーダに記録した。音声分析には、先行母音部分を用いた。 分析する音声データは、低域遮断周波数60Hz、高域遮断周波数5kHz、減衰特性-48dB/oct.のバンドパスフィルターを通過させた後、サンプリング周波数10kHz、精度12bitのA/Dコンバータで量子化した。先行母音の定常部分について、窓長51.2msecのハニング窓をかけ、12.8msecごとに分析フレームを更新し、10フレームについて線形予測法を用いてスペクトル包絡を求めた後、これらの平均スペクトルからF1、F2を決定した。 この結果と舌運動の三次元計測の結果とを比較検討し、以下のことがわかった。 1)男女ともに/u/におけるF2周波数は骨格性反対咬合者の方が有意(P<0.01)に高かった。しかし、その他のF1、F2周波数では有意差は認められなかった。 2)骨格性反対咬合者では狭母音(/i/、/u/)発声時に舌を後方に移動させず、舌のより後方部で調音点を形成するという補償運動をしていることが示唆された。 3)この補償は、/i/発声時には十分行われているが、/u/発声時においては正しい位置に調音点を形成するまで行われていなかった。
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