研究課題/領域番号 |
12671983
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
三留 雅人 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50261318)
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研究分担者 |
菊入 崇 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10322819)
白川 哲夫 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (00187527)
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キーワード | 三叉神経核 / 神経幹細胞 / EGF / GFP / オリゴデンドロサイト / MBP / bFGF / ニューロン |
研究概要 |
ドナーとして胎生15日目のGFP(green fluorescent protein)マウスの線条体/脳室下帯から細胞を採取し、EGF(epidermal growth factor)あるいはbFGF(basic fibroblast growth factor)下で神経幹細胞を培養した。培養した神経幹細胞は新生1日〜3日のマウスの脳室あるいは小脳延髄槽に注入し(120000個/2μ1)、移植後2週間〜8週間後に4%パラホルムアルデヒドで灌流固定を行った。作成した脳切片は、蛍光顕微鏡下で移植神経幹細胞の生着および分化を観察した。 EGF反応性神経幹細胞を脳室内に移植すると主に白質に細胞の生着を認め、グリア細胞のマーカーであるGFAPあるいはCNPaseに陽性を示した。脳幹においては小脳延髄槽に移植すると三叉神経脊髄路および三叉神経脊髄路核に著明に細胞の増殖を確認した。また、レシピエントとしてMBP(myelin basic protein)生成不能マウスであるshivererマウスに神経幹細胞を移植すると三叉神経核およびその周辺に細胞の分化、増殖を認めMBPの抗体に陽性を示した。bFGF反応性神経幹細胞では、三叉神経脊髄路においてほとんどの細胞がグリア細胞に分化したが、三叉神経脊髄路核においては一部の細胞はニューロンのマーカーであるNeuNに陽性を示した。 以上より、EGF反応性神経幹細胞は、新生マウスの大槽に移植すると、脳幹の三叉神経核後部において、細胞の増殖を認め、殆どの細胞はグリア細胞に分化し、特にオリゴデンドロサイトとして機能していた。一方、bFGF反応性神経幹細胞は三叉神経脊髄路核においてニューロンへの分化が認められた。これらの結果、神経幹細胞の移植は形態的、生理的および行動に異常が認められる疾患に対して有用な治療法になる可能性を持つことが示唆された。
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