研究概要 |
歯周組織改造機構を解明する上で、歯根膜組織とその基質分解に寄与するMMPsに着目し、メカニカルストレスによる歯周組織改造機構における歯根膜細胞の果たす役割を明らかにすることを目的としてMMPsの発現とその制御機構を検討した。その結果、以下のような知見を得た。 1.代表的なコラゲナーゼ(MMP-8,13)、ゼラチナーゼ(MMP-2,9)、ストロムライシン(MMP-3,10)のcRNAプローブを作成した。MMPsの遺伝子の発現とその局在をin situ hybridizationにより検討するため、6週齢ラットに矯正力を負荷し歯の移動を行った。経時的に屠殺し、通報に従って、固定・脱灰・包埋を行った。対照群の組織標本においてそれぞれのMMPsのシグナルが歯周組織において確認された。歯の移動を行った実験群においては、現在解析中である。 2.マウス骨芽細胞様細胞MC3T3E1の培養上清をZymographyにより調べると、51,54,70,90kDaのMMP活性を示すバンドが周期的伸展刺激3日間の負荷により減少した。周期的伸展刺激負荷により、total RNAを抽出し、半定量的RT-PCR法により遺伝子発現を解析した。c-fos mRNAの30分をピークとする一過性の上昇が認められ、6時間後にはもとのレベルに戻った。またプロスタグランジン合成酵素の遺伝子発現パターンを調べると、constitutive enzymeであるCOX-1は変化しなかったが、inducible enzymeであるCOX-2の遺伝子発現の上昇が認められ、COX-2を介するプロスタグランジンの合成が推測された。 今後、歯周組織におけるMMPs産生細胞を同定し、細胞内シグナル伝達機構および細胞間相互作用、サイトカインやプロスタグランジンなどの関与についてもさらに解析する予定である。
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