研究課題/領域番号 |
12671989
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大坪 邦彦 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (20272601)
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研究分担者 |
松本 芳郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20292980)
割田 博之 東京医科歯科大学, 歯学部・付属病院, 講師 (30262207)
相馬 邦道 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10014200)
米山 隆之 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (00220773)
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キーワード | 超弾性型Ti-Ni合金ワイヤー / 矯正用ワイヤー / 振動減衰能 / 衝撃吸収性 / 骨代謝活性 / 歯根吸収 |
研究概要 |
骨や歯などの生体硬組織は、元来振動や衝撃をある程度吸収する性質を有している。特に歯根膜を有する歯は、コラーゲン線維やオキシタラン線維、細胞外基質などがクッションとしての役割を果たすことにより、振動や衝撃に対して影響を受けることが少ないと考えられる。しかし、矯正治療中の歯周組織では歯根膜線維の配列が乱れ、歯槽骨の吸収、形成に伴う歯根膜腔の拡大が見られるなど、通常の状態とは異なり、それとともに機械的特性も脆弱になっているものと考えられる。そのため歯に強い衝撃、振動や、強い矯正力が加わった場合には、歯周組織に侵害性の反応が惹起されることが懸念される。一方、Ti-Ni合金ワイヤーは形状記憶特性と超弾性特性のみならず、振動減衰能を有することが明らかにされている。そこで、咬合、ブラキシズムや早期接触などから予想される咬合衝撃が、ステンレス鋼ワイヤーやTi-Ni合金ワイヤーを介して矯正治療中の歯周組織に対してどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的として、ワイヤーを装着したラット臼歯に超音波スケーラーによる振動刺激を与えた際の、歯周組織の反応について検討した。 ラット下顎切歯から右側第一、第二、第三臼歯に超弾性型Ti-Ni合金ワイヤー、もしくはステンレス鋼ワイヤーを光重合型レジンにて装着し、超音波スケーラーによる3種類の強さの振動刺激を下顎切歯に与え、この刺激がワイヤーを介してラット臼歯歯周組織に与える影響を光顕的に観察した。ワイヤーを装着せずに直接臼歯に刺激を与えたものでは高度の歯根膜の変性や炎症性反応、歯髄の充血などが認められた。それと比較して、ワイヤーを装着して切歯に刺激を与えたものでは、ステンレス鋼ワイヤーを装着したものにおいては軽減されてはいるものの、同様の所見が認められた。一方、超弾性型Ti-Ni合金ワイヤーを装着したものでは歯根膜の変性や炎症性反応、歯髄の充血はほとんど認められなかった。
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