下顎頭と成長板軟骨におけるHSPGの局在と機能、およびその加齢よる変化を明らかにするために以下の実験を行った。 まず、成長期ラットの脛骨成長板を用い、HSPGの局在を検討した。その結果、成長板には全層にわたりHSPG存在することが明らかとなった。また、軟骨細胞にも強い染色性が認められ、軟骨細胞がHSPGを産生していることが示唆された。さらに、軟骨基質中にbFGFが、軟骨細胞にFGFRが認められたことから、HSPGが軟骨組織におけるこれらの結合に強く関与しているが示唆された。次に成熟、老齢期ラットの脛骨及び下顎頭におけるHSPGの局在を検討した。成熟期、老齢期において脛骨成長板は残存するが、内軟骨性骨化はほぼ終了していた。基質全体にHSPGの局在が認められたが、成長期に比べるとその染色性は減少していた。軟骨細胞においては成長期と同様に強い染色性が認められた。この結果、成熟期の成長板軟骨細胞においてもHSPGが産生されているが、成長期のような活発な細胞外基質へ放出は減少していることが示唆された。成熟期下顎頭軟骨は既に軟骨下層において厚い皮質骨様骨と接しており、成長の場としての機能は低下していることが示唆された。関節面表層は多く細胞を含有した線維層で厚く覆われ、その線維層全体に強いHSPGの局在が認められた。増殖、成熟細胞層においては、軟骨細胞に強い染色性が認められるものの、細胞外基質においてはわずかに染色されるのみであった。老齢期に於いて、下顎頭軟骨表層の線維層は、その厚みも、細胞数も非常に減少しており、基質中のHSPGも非常に減少していた。全層に渡ってHSPGは細胞にのみ認められ、細胞外基質中には殆ど認められなかった。この結果、下顎頭軟骨細胞に於いてもHSPGが産生されるが、成熟期以降は細胞外基質への放出は成長板軟骨と比較してさらに低下することが示唆された。
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