少なくとも月に一回以上の口内炎ができる26名の被験者を集めた。同意書をとった後6ヶ月間にわたり、対照期間として、まずサラダ油を配給した(平均一ヶ月約1kg)。家庭で使用する油はすべて配給した油だけにしてもらい、他の油の使用は禁止した。口内炎ができた場合は、医師か看護婦が各被験者の家を少なくとも一回は訪問し、口内炎であることを確認した。被験者はさらに口内炎の大きさを大中小に分け(各自の主観によった)、口内炎のできた期間をカレンダーに記載してもらい、毎月研究室へ送ってもらった。6ヶ月間の対照期間が終わったところで、全対象者を無作為に二群に分け、一群は対照群とし大豆油を、もう一群は実験群として、シソ油をさらに6ヶ月配給した。配給は二重盲検法で行い、念のため、研究終了時にアンケート調査で配った油が見抜かれてないことを確認した。対照期間と同様に口内炎ができた場合は各自カレンダーに記入してもらった。なお、開始時、6ヶ月目、研究終了時に採血し、血中の脂肪酸構成をガスクロで測定した。 出産(2)、転居(1)、体調不良(1)、その他(3)の理由で7名がドロップアウトしたため、最終的にはシソ油群10名、対照油群9名で検討した。各群とも油を変えたにも関わらず、血液中の脂肪酸構成に変化はなかった。口内炎はCrossover effectがないように、各期間の後半5ヶ月で比較した。口内炎の総数、あるいは総罹患日数で比較すると有意差はなかったものの、大きな口内炎だけについて検討すると、シソ油群では対照期間と実験期間の平均個数は、それぞれ、5.2個と2.6個であるのに対し、対照群では、それぞれ、5.2個と9.1個で、両群間で有意差があった(P<0.05)。 以上より、シソ油にはある程度の口内炎予防効果があることが判明したが、今後、投与期間をもう少し延長し、口内炎全体に効果があるかを検討する。
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