研究概要 |
本研究の目的は、 (1)咀嚼運動における咬合相付近の機能的な診査・診断の行えるシステムを開発すること (2)このシステムを用いて小児の特徴的な咀嚼機能と形態との関係を解明することであるが、システムの構築を除いたステップごとの目的は以下の通りである。 (1)については必要なことは、 咀嚼運動の解析(準備段階)として a)一連の運動を各サイクルヘの分割(咬合相の保存) b)咀嚼サイクルのパターン分類 (作業側、非作業側または、習慣性咀嚼側、非習慣性咀嚼側など) 上下の歯が c)どこで(location:どの歯のどこで) d)どの程度の面積(occlusal contact area) e)どの程度の長さ(distance of occlusal contact)咬合接触接触しているかの定量化 f)また、これらのparameterは咀嚼パターンにより変化するの確認と分類 (2)については、 g)これらのparameterに小児の特徴があるかの検討(成人の計測と小児との比較) h)形態はこれらのパラメータにどのような影響を与えるかの検討 i)それらの標準値の作成に意味があるかどうか?そしてその作成 j)機能異常を有する小児の計測と診断、指導方法に関する考察 平成12年度は「運動における咬合相付近の機能的な診査・診断の行えるシステムを開発すること」に主眼をおき研究を行った。a)については日本小児歯科学雑誌(38:1025-1033,2000)に、b)については日本顎口腔機能学会雑誌(6:153-161,2000)に、c,d,e)についてはJournal of Dental Research(79:1890-1895)にそれぞれ、その成果を報告した。これらの結果から、サイクルの分割、咀嚼サイクルのパターン分類、上下歯牙の接触状態の観察が可能なシステムが構築され、臨床への応用が可能となった。
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