研究課題/領域番号 |
12672004
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
早崎 治明 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (60238095)
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研究分担者 |
落合 聡 九州大学, 歯学部附属病院, 助手 (20315097)
山崎 要一 九州大学, 歯学部附属病院, 講師 (30200645)
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キーワード | 咀嚼運動 / 咬合相 / サイクル / 運動経路 / 小児 / 乳歯列 |
研究概要 |
本研究の目的は、(1)咀嚼運動における咬合相付近の機能的な診査・診断の行えるシステムを開発すること (2)このシステムを用いて小児の特徴的な咀嚼機能と形態との関係を解明すること、であった。平成12年度から平成13年度初期においてですでにシステムの完成し、国内外に報告した。本システムは下顎機能に関する解析が可能となり、乳歯列を有する小児、および永久歯列を有する成人の基本的下顎運動(側方滑走運動)に関する研究報告も行なった。本研究の課題については1)方法論に関する報告、2)咀嚼運動咬合相における上下の歯の接触滑走距離、3)この滑走距離の安定性、4)咀嚼運動終末位の安定性、5)咬頭嵌合位の安定性、6)咬合相の閉口路、開口路間の前頭面投影角度、矢状面投影角度、7)開口路、閉口路の投影角度の相関性、などに関する報告を行った。 これらのことから、小児の咀嚼運動における咬合相の特徴は、1)多くの計測項目において成人より安定性や再現性が低い、2)閉口路の咬合接触は開口路より小さい(成人とは逆の所見)、3)咀嚼パターンが成人と異なる、4)開口路と閉口路の因果関係が成人より不明瞭である、などの結論を得た。これらの結果には1)小児の歯列および顎関節の形態が深く関与していること、2)哺乳時期に有意であった下顎の前後運動を主体とする運動様式が乳歯列期にも残っていること、3)この運動様式が成長発育により成人の咀嚼運動に近づくこと、などが明らかとなってきた。 しかし、本研究においては比較的軟らかいガムを被験食品としていることから、今後他の被験食品を含め研究をすすめるとともに、下顎機能の審査・診断、また治療やリハビリテーションに有効な手段を追求している所存である。
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