研究概要 |
1.平成12年度と13年度の十島村および三島村離島巡回診療に併せて実施した現地調査結果を分析したところ、島民の多くが、修理や再装着の既往がある補綴物を使用していることが確認された。したがって、このような地域における補綴治療では,補綴物の新規製作が困難であるため,有床義歯、クラウン・ブリッジを問わず、修理・再装着が重要な治療方法であることが示唆された. 2.平成12年度の巡回診療において,接着システムを用いて再装着したクラウン・ブリッジや修理した義の予後を調査した結果,ほとんどの補綴物が脱落や再破折することなく機能しており,義歯修理や補綴物再装着に対する接着システムの臨床的有効性が確認された.とくに,エアカートリッジを備えた携帯型サンドプラスターによって被着面のアルミナブラステイングが巡回診療でも可能になったことが,この結果に大きく貢献したものと考えられる. 3.各種サンドプラスターによる金属表面処理能力を接着試験で検討した結果,携帯型プラスターによるサンドブラスト処理は、従来型プラスターと同等の接着強さを得ることができる有効な接着前処理法であることが明らかになった.一方,象牙質に対するサンドブラスト処理は,接着性レジンとの接着強さを低下させることも判明した. 4.最近,開発されたコンポジットレジンの摩耗試験および強度試験を行った結果,従来のアクリルレジンやコンポジットレジンと比べて,高い耐摩耗性と曲げ強度を有することが明らかになった.したがって,今後の離島巡回診療におけるクラウン・ブリッジ用材料として使用できる可能性が示唆された. 5.前年度に引き続き,前歯部の1歯欠損症例に人工歯を用いた接着ブリッジを応用した.その臨床評価は,平成14年度に行う予定である.
|