研究概要 |
近年、日本小児歯科学会が報告した「小児の歯の外傷の実態調査」において改めて、幼若永久歯の外傷の頻度の高さが浮き彫りになった。外傷に伴い、歯内療法を必要とする症例も多い。その際に最も問題になるのは、歯根形成である。そこで歯根形成に最も関与する象牙質の石灰化(特に基質小胞性石灰化)について検索した。 胎生期のウシの歯胚を使用し、象牙芽細胞および象牙前質より、基質小胞を分離し、以下の結果を得た。 1.分画遠心法により調製した基質小胞画分をショ糖密度勾配遠心より再分画し、Alkaline phospharase (ALP), Lactate dehydrogenasa (LDH), protease活性を測定した。その結果、ALP, LDH, proteaseを含む基質小胞の外に、密度が高く、ALP, LDHを含むがproteaseを含まない基質小胞様小胞が存在することを明らかにした。 2.基質小胞中のProteaseは、Zn^<2+>,Fe^<2+>,Co^<2+>を必要とするmetalloproteaseであった。 3.象牙芽細胞層から細胞培養を行い、metalloproteaseに対する抗体とプロテインAゴールドを用いる免疫組織化学的手法により、両小胞を検索中である。
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