学校における歯・口腔の定期健康診断をスクリーニングとして捉え、COおよびGOに対し精密検査と事後指導の受診を勧める「歯科受診のすすめ」を配布し、その対応を地域歯科診療所において行う活動を実施している。そこで、各診療所での精査やCO・GOの対応等について、歯科診療所毎にアンケート調査を実施し評価・解析した。 1.歯科診療所に来院した患児や保護者のCO・GOの理解は約70%であった。2.学校健診時のCO検出では「CかCOの判定に迷う時はCOとする」が定着、探針の使用が減少など齲蝕検出に変化が起きている。 3.精査後のCO・GO者の対応では「歯磨指導」「CO・GOの説明」「経過観察」「フッ素塗布」「シーラント」の順の割合で行われていた。4.各診療所の変化では「診療形態が変化した」が70%、その内容は「保健指導」「説明」や「予防処置」が増えた。また、従業員の変化では「保健指導」と同時に「指導の勉強」や「スケーリングの増加」に変化が見られた。5.学校歯科保健対策である本事業活動は多数の診療所が「有効」と認めていた。 これらの結果踏まえ、各診療所での歯科診療形態を治療から予防へとシフトし、地域のニーズ即した歯科保健・医療の連携活動が重要である。 本学校歯科保健事業活動を児童生徒の保護者の受け止め方を知るために、小・中学生約5000名を対象に質問紙調査を行った。1.「歯科受診のすすめ」を配布された保護者の内容の理解では約70%であった。2.配布後の受診状況は全体の約70%が受診していたが、学年が上がる毎に減少、また歯科診療所での対応では、約7割の者に保健指導が実施されていた。3.歯科受診後の子供の行動変化では、各学年で4割強の変化に止まっていた。4.歯科受診後の行動変化の有無によるおやつの買い置き状況や就寝時の飲食状況を観察すると、「変化有りの者」に、おやつの買い置き・就寝時の飲食が減少傾向にあった。以上のことから保護者へのCO・GOについての理解が不十分であるのが現状で、このことが子供の生活習慣の行動変容を阻止する要因と推察された。
|