学校歯科健診に「CO・GO」が導入されたのを契機に、新しい学校歯科保健活動の試みとして、学校-児童生徒-地域の診療所の三位一体の活動を実施し、その評価を得るため児童生徒の保護者及び歯科診療所に質問調査をした。その結果、歯科診療所側では保護者の「CO・GO」に対する理解度は約50%と厳しい評価をするのに対し、保護者側は歯科診療所の対応に一定の理解と評価を示した。今後、学校健診の場や歯科診療所での精密診査を通して、児童生徒、保護者の「CO・GO」に対する理解度を高めるため、啓発・啓蒙活動を実施することが重要課題の一つと考えられた。 次に、「CO」導入後の6年間の「CO」及びう蝕罹患状況の経過から、新しい学校歯科保健活動を総合的に評価した。その結果、米沢市の小学校(18校)、中学校(8校)の学校間のCO保有者率の年次的増加が認められ、かつ診査(学校)間の格差がみられた。これは、当初学校健診現場でのCOの検出の難しさによるものと考えられた。また、COの事後指導として、精密検査結果に基づき処置方針を決定する保健指導の定着化が、COの検出率を増加させたと考えられた。COの精密検査結果では、H10年度以降健全歯として診断される率が増加した。これは、診査者の経験に加えて、新しい学校歯科保健システムの確立が、COの検出を容易にしていることを裏付けている。 さらに、学校健診でCと診断された歯が、精密検査で臨床的う蝕と判定される一致率は70〜80%であった。これは、学校歯科健診の物理的環境条件を考えると、この程度の範囲は予想されることで、結果的に2次健診の必要性及び重要性が示唆される。 米沢市の中学1年生(12歳児)のDMFT指数は2.75歯と全国値(H11;2.92歯)より低く、西暦2000年の歯科保健目標値(3歯以下)をも達成した。児童生徒のう蝕経験歯数の減少に、COの導入、加えて本活動の定着が大きく寄与していることが示唆された。
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