研究概要 |
半導体レーザーの骨形成促進作用の解明について以下の実験を行った。 1.妊娠21日のウイスターラットより摘出した胎仔calvariaを0.3%collagenaseにてdigestionし骨芽細胞様細胞を得た。この細胞をα-MEM培養液(含10mM β-グリセロフォスフェイト、50mg/mlアスコルビン酸)にて24時間培養後35mm培養dishに4x10^4cells/dishになるようseedingした。 2.Ga-Al-As半導体レーザー照射器(パナラス1000、波長830nm、出力500mW、松下産業機器)を用い培養1日目のsubconfluentの細胞層に1回のみ1.25,2,5および10分(0.48-3.84J/cm^2J)連続波にてレーザー照射を行った。また1、2Hzおよび8Hzで2,5〜20分(0.48-3.84J/cm^2J)、50%のパルス波でレーザー照射を行った。 3.各処置を行った細胞をさらに20日間培養し、その細胞層を4%パラホルムアルデヒドにて10分間固定した後、通法に従いVon-Kossa染色を行った。dish内に形成されたbone nodule数と面積を画像解析装置を用い算定した。 4.レーザー照射後3日毎に細胞数を算定しレーザー照射による細胞増殖を検討した。 5.10分(36J)連続波にてレーザー照射を行い培養した細胞の培養上清を3日ごとに採取しIGF-Iアッセイキット(Amarsham社)により産生量を定量した。 以上の実験から連続波と8Hz波では最大照射(3.84J/cm^2J)のみにbone nodule数と面積の促進効果があったが、1Hzでは0.96-3.84J/cm^2群で、2Hzで照射群すべて(0.48-3.84J/cm^2)に形成促進作用が見られ、低周波のパルス照射が低照射量でも顕著にbone nodule形成促進作用があることがわかった(J Oral Science,in press)。また最大照射の3.84J/cm^2Jで比較すると、他の群に比較し1Hz,2Hzで有意にbone nodule数や、総面積が増大していた。 またレーザー照射後3,6日目でIGF-I産生が非照射群に比較し有意に増大していることがわかった。以上のことからレーザー照射による骨形成促進作用は、低周波パルス照射が連続波照射に比較し有効であることがわかった。またレーザーの骨形成促進作用はIGF-Iの産生促進を介して起こっている可能性が示唆された。
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