研究課題/領域番号 |
12672022
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
平下 斐雄 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70089457)
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研究分担者 |
戒田 清和 鶴見大学, 歯学部, 講師 (50139606)
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キーワード | 牽引側歯根膜表面 / 圧迫側骨膜表面 / 歯槽骨内洞様構造 / 破骨細胞 / 骨髄 / 酒石酸耐性酸性ホスファターゼ / カップリング現象 / 内部吸収 |
研究概要 |
平成12年度め研究成果において、歯根膜側および骨膜側のそれぞれの骨表面に増加した破骨細胞のピークは、それぞれ4日目と4〜5日目であったことから、骨髄からの破骨細胞の補給が脈管を通して(骨内の洞様構造の脈管周囲に多くの破骨細胞の出現があった事実より)行われている確率が高いことがわかった。そこで、骨髄から破骨細胞の補給が歯槽骨内1/2中央から歯根膜側と骨膜側へどのように行われているのかを4日目を中心に検討した。その結果、(1)上顎第一臼歯頬側近心根では頬側のalveolar crest部から根尖に向かって約450〜500μmの領域で一部骨髄が観察された。(2)対照群の4日目では、これらの骨髄には比較的多くのTRAP陽性の単核細胞が見られたが、実験群では単核細胞に加えて既に多核の破骨細胞にもTRAP陽性が検出された。しかし、近接する洞様構造内、さらに歯根膜へ通ずる開窓部に至る領域には破骨細胞は散在していた。(3)このような歯槽骨の深部では、頬側面の骨膜側に比べて、歯根膜側への破骨細胞の出現は多かった。以上から、歯の移動初期4日目には、骨髄内で既に多核巨細胞である破骨細胞は形成され、いわゆる骨髄由来の破骨細胞として脈管を含む洞様構造を経由して移動することがわかった。さらに、歯槽骨基底部の骨髄からの破骨細胞の補給は、歯の傾斜移動のため、根尖は骨壁寄りに移動され、その隣接領域は圧迫側として破骨細胞出現の要因となっている。一方、骨膜側の歯槽骨内洞様構造にはほとんど破骨細胞は見られなかった(恐らく、alveolar crest領域に比べて骨の基底部領域の骨膜側は歯の移動による歯肉の牽引力の影響がなかったものと思われる)。
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