研究概要 |
乳歯は、胎生6週ごろの成長を開始し,生後7から8か月に萌出が始まり、3歳ごろにすべての乳歯が萌出を完了する。その後、6歳ごろより徐々に後継永久歯に交換し、12歳ですべての乳歯が脱落してしまう。その乳歯と永久歯の交換時期での乳歯の歯根吸収や永久歯の萌出は、身体での他の臓器にはない特性を有していると言われている。また、乳歯の歯根吸収の時期は、各個人の身体的な発育によりかなりの相違が認められるとも言われている。そこで、今回、私は、乳歯の処置状況(歯冠修復処置や歯髄根管処置)により乳臼歯歯根吸収の状態がどのように相違し,また、後継永久歯の石灰化状態や萌出時期にはどのような影響があるかを探求するために研究を行った。 研究対象は、1969から1999年までの30年間に大阪歯科大学小児歯科外来で定期検診した来院した小児のオルソパントモグラム、考究用石膏模型と乳歯の処置記録を参考にして、乳臼歯の歯根吸収状態、後継永久歯の萌出時期や石灰化状態を調査し、そのうちの3、5、7歳児の乳臼歯歯冠と乳臼歯歯根状態を未処置乳臼歯、歯冠修復乳臼歯、生活歯髄切断乳臼歯、注射抜髄後の根管充填乳臼歯、感染根管治療後の根管充填乳臼歯および抜去乳臼歯の6つのケースに分類した。それらの乳臼歯について歯根吸収状態、後継永久歯の萌出時期と石灰化状態について統計的に分析および検討を行った。 研究結果は、第20回日本小児歯科学会近畿地方会(平成13年11月18日・大阪)において研究発表を行った。その後、小児歯科学雑誌にて公表の予定である。
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