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2001 年度 実績報告書

歯科医院におけるバンコマイシン耐性MRSA汚染状態の調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 12672026
研究機関大阪大学

研究代表者

岡橋 暢夫  大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (40150180)

キーワード歯科医院 / メチシリン耐性 / 黄色ブドウ球菌 / バンコマイシン / コアグラーゼ陰性ブドウ球菌
研究概要

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、難治性の院内感染の病原菌として注目を集めている。従来、歯科医院でMRSAに注意が払われることはほとんどなかったが、近年のインプラント治療などの普及に伴い、一般歯科医院においても外科的処置を行う機会が増加しており、歯科の分野でも院内感染に留意する必要性が高くなっている。さらに、ごく最近、バンコマイシンに対する耐性を有するMRSAの分離が報告され、医療関係者に大きな衝撃を与えた。本研究では、歯科医院におけるMRSA汚染状態を調査し、バンコマイシン耐性のMRSAが検出されるかどうかを検討することを目的とした。
昨年度の研究により、PCR法を用いたヒト口腔内MRSAの簡易同定法を確立した。この方法を用い、一般歯科医院を訪問した歯科治療受診患者の口腔内MRSAの分布を調べた。その結果、mecA陽性でメリシリン耐性菌と判断された菌を有する被験者の割合は8%であった。これらのうち、femA陽性、IS431陽性で黄色ブドウ球菌と判別された菌は少数であり、多くはコアグラーゼ陰性のブドウ球菌であった。菌種としては、Staphylococcus epidermidisおよびStaphylococcus hominisが高率に検出された。また、大阪大学歯学部病院を受診した障害者の口腔内MRSAの分布を調べると、一般受診患者よりも高頻度でメチシリン耐性ブドウ球菌が検出された。この場合でも黄色ブドウ球菌は少数であり、耐性菌の多くはコアグラーゼ陰性のブドウ球菌であった。
この結果は、通常の歯科治療受診者における口腔内細菌としてMRSAは1%程度で少ないものの、メチシリン耐性のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌がかなり広く分布していることを示している。加えて、障害を有する歯科治療受診者の口腔内にはメチシリン耐性ブドウ球菌が一般受診者に比べてかなり多いことが明らかになった、障害を有する患者の障害が多種多様であることなどの問題があるため一般化は難しいが、障害を有する患者は概して口腔衛生状態が悪く、ブドウ球菌保有率が高いことが示唆された。さらに重要なことは、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌は、病原性が弱いため、従来は見過ごされることが多かったが、これらの菌が口腔常在菌としてメチシリン耐性遺伝子の拡散に関与している可能性が高いということである。なお、今回の研究ではMRSAの分離頻度が少なかったため、バンコマイシン耐性の有無については十分な検討が行えなかったことを付記する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Okahashi, N. et al.: "Osteoclast differentiation is associated with transient upregulation of cyclin-dependent kinase inhibitors p21(WAF1/ClP1)and p27(KlP1)"J. Cell. Biochem. 80. 339-345 (2001)

  • [文献書誌] Nonaka, K. et al.: "Involvement of caspases in apoptotic cell death of murine macrophages infected with Actinobacillus actinomycetemcomitans"J. Periodont. Res.. 36. 40-47 (2001)

  • [文献書誌] Murase, Y. et al.: "Possible involvement of protein kinases and Smad2 signaling pathways on osteoclast differentiation enhanced by activin A"J. Cell. Physiol.. 188. 236-242 (2001)

  • [文献書誌] Yamato, K. et al.: "Bone morphogenetic protein activation of the p21(CIP1/WAF1)promoter in mouse B lineage cells"Oncogene. 20. 4383-4392 (2001)

  • [文献書誌] Koseki, T. et al.: "Role of TGF-beta family in osteoclastogenesis induced by RANKL"Cell. Signal.. 14. 31-36 (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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