研究概要 |
炎症歯肉組織中には、prostaglandin(PG)E_2などのPGの産生の亢進が報告され、またPG合成阻害剤である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は歯周病の進行を抑制することが示され、PGが歯周病の病因に関与していると考えられている。我々は、歯肉線維芽細胞におけるinterleukin(IL)-1β誘導IL-6産生に及ぼすPGE_2の影響を検討した。PG産生を抑制するためにインドメタシン処理を行うとIL-1β誘導IL-6産生の亢進が認められた。外因性にPGE_2を添加するとIL-1β誘導IL-6産生は濃度依存性に抑制された。歯肉線維芽細胞におけるPGE_2レセプター(EP_1,EP_2,EP_3,EP_4)の関与ついて検討したところ、歯肉線維芽細胞にはEP_1,EP_2,EP_4のmRNA発現がRT-PCRにて認められたが、EP_2あるいはEP_4レセプターアゴニストはIL-6産生を抑制したのに対し、EP1アゴニストは逆に上昇させた。従って、PGE_2の作用はEP1経路およびEP_2/EP_4経路のによって調節されている可能性が示された。また歯肉線維芽細胞を用いて、PGF_<2α>のmatrix metalloproteinase-1(MMP-1)産生への影響についても検討した。その結果、PGF_<2α>はMMP-1産生を濃度依存性に亢進させた。この産生の増加はMMP-1mRNA発現の亢進をともなうものであった。RT-PCRにて歯肉線維芽細胞におけるFPレセプターの発現を調べたところ、その発現が認められた。従って、PGF_<2α>はFPレセプターを介してMMP-1産生を亢進させることが明らかとなった。
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