研究概要 |
1.殺細胞因子の精製 Bacteroides forsythusの超音波破砕物をDEAE Sepahroseカラムを使用し精製を行った結果、2画分(F1, F2)に活性が認められた。さらに、ゲルろ過を行ったところ、F1、F2ともに同様な分子量(28kDa, 400kDa超)の2分画に活性が認められた。F1, F2共に高分子量分画におけるA_<254>がA_<280>より高かったので、本因子は、細菌のDNAと相互作用すると予想された。そこで、400kDa超の分離分画をDNaseIと作用させ分画を行った。その結果、28kDaに収斂し活性が認められた。よって、当該毒素は、DNA結合性のタンパク質であることが強く示唆された。次に、ヘパリンカラムを用いて精製を行なったところ、強い活性を示す分画を得た。本分画に対し2.の抗体を用いてWestern blot analysisを行ったところ、約28kDaを含む3本のバンドを得た。 2.坑殺細胞活性モノクロナール抗体の作製 マウスをB. forsythusの超音波破砕物で免疫した後、リンパ球を分離した。これらのリンパ球をマウスミエローマの細胞株に融合させた。その後、一週間培養を行い、ハイプリドーマのコロニーを形成させた。これらのクローンから坑殺細胞活性を保有する抗体を産生するクローンを分離した。 3.殺細胞因子の上皮様癌細胞に対する作用の分析 上記細胞に精製した因子を作用させ位走査顕微鏡、DAPI染色により検討を行ったところ、球状を呈し、Dishから剥離・凝集しており、アポトーシス小体が観察された。さらに、cell cycle statusを検討するために、細胞をp53, Cyclin B1に対する抗体にて染色後、フローサイトメトリーにて分析した。その結果、殺細胞因子を作用させた細胞は、G2 arrestを起こし、かつ高レベルのp53, Cyclin B1の発現が認められた。 (Infect Immun.に投稿準備中)。
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